葬儀後にすること

遺産相続のポイント

●相続人になれるのはだれ?
配偶者は常に相続人になれます。
配偶者以外で相続人になれるのは、次のとおりです。
・第1順位
故人の子です。実子、養子の区別はなく、認知されていれば非嫡出子でも、妊娠中の胎児にも相続資格があります。子が死亡していれば、孫が相続します(代襲相続という)。
・第2順位
子どもがいないときは、親(実親でも養親でも)が相続人になり、親が死亡なら祖父母。
・第3順位
子どもも親も祖父母もいないときは、故人のきょうだい。きょうだいも死亡なら、甥や姪が相続人になります。

●相続人になれないのはだれ?
配偶者以外の、婚姻によって故人と親族となった「姻族」。つまり、どんなに親身に世話をしても、遺言がない限り、子どもの配偶者は相続人になれません。
故人が子どものいる人と婚姻していたケースでは、故人が配偶者の子どもと養子縁組をしていないときは、配偶者の子どもに相続資格はありません。
また血族でも、父親が認知していない子はその相続人にはなれません。
そのほか故人の遺言書を偽造・隠匿したり、変更を強要したり、先順位者や同順位者を死亡させることに関わった者等は、相続人の資格を奪われます。

●遺産目録を作成しよう
財産はプラス資産ばかりではありません。借金などのマイナス資産もあるので、すべての資産を書き出し、明確にすることからスタートしましょう。
・プラス資産の例
①不動産(土地、建物)の所有権、②動産(自動車、船、貴金属、家財道具、現金、預貯金)の所有権、③債権(売掛金、貸し金など)、④株式、公債、社債など、⑤特許権、著作権、商標権など、⑥損害賠償請求権、慰謝料請求権など。
・マイナス資産の例
買掛金、借金、連帯保証債務、慰謝料など。
・相続税対象にならないもの
非課税限度額内の死亡退職金、遺族年金、香典、墓石や仏壇などの祭祀財産、寄付財産、公益事業用財産など。
生命保険請求権は、故人が保険料を負担していて相続人が受取人のときは相続税の対象となります。

●相続には3つの選択肢が
①相続放棄したい
マイナス資産が大きい場合や、他の家族のために、自分の相続分を放棄したい場合は、相続開始から3カ月以内に、家庭裁判所に申し立てます。
②限定承認したい
「限定承認」とは、負債の弁済は、相続した財産の限度内にすることを条件とした相続のことをいいます。相続開始から3カ月以内に、相続人が全員一致のうえで、家庭裁判所に申し立てます。
③単純承認する
相続放棄・限定承認の申し立てをしなければ、「単独承認」といって、マイナス資産も含めて、すべての財産を相続することになります。

●分割は相続人全員で協議
相続人が2人以上のときは、遺産を分割して相続します。割合は遺言による指定があれば、それに従います。ただし「遺留分」(※遺留分とは、故人が遺言で相続の割合や、相続人以外への遺贈を決めていても、相続人が申し立てれば、一定の遺産を相続することができます。これが「遺留分」です。たとえば、故人が全財産をどこかに寄付すると遺言していても、法定相続人が家庭裁判所に申し立てをすれば、遺留分を請求することができます。)によって制限を受けます。
指定がない場合は、何をどう分割するかを協議します。相続人で協議して、全員の合意で決めます。合意すれば、法定相続分とは違ってもかまいません。
協議したにもかかわらず、合意が不成立の場合は、家庭裁判所の調停や審判に従います。

●評価が必要な相続財産も
分割のために相続財産の評価が必要な場合は、不動産は不動産鑑定士、株は公認会計士や税理士、貴金属や美術品も専門家に鑑定してもらえば、確実な評価ができます。ただし、経費はかかります。
そのうえで、分割できるものは分割し、できないものはお金に換えて分けたり、何人かで共有するなどの方法をとります。

●名義変更は規定の方法で
相続に伴い、不動産、預貯金、株式、自動車などの名義変更をしなければなりません。
こちらのページの「諸手続き一覧」の「窓口」の機関へ、同表に記載した必要な書類をそろえて提出します。ケースによって必要な書類が違ってくることもあるので、あらかじめ提出先に問い合わせておくとよいでしょう。
期限のあるものは、早めに手続きしましょう。

●相続税の申告と納付
相続税は、基礎控除額を超えた財産分に課税されるものです。
基礎控除額は5000万円+(1000万円×法定相続人数)ですから、法定相続人が配偶者と2人の子どもの場合は、8000万円になります。したがって、8000万円以下の相続なら申告の必要はありません。それ以上なら、相続人全員で1通にまとめ、故人の住所地の税務署に申告・納付します。申告・納付期限は、10か月以内です。
また、「配偶者の税額軽減の規定」などさまざまな特例もあるので、税理士に相談してみるとよいでしょう。
なお、納付が期限までにできない場合は、延納といって、期限後に延べ払いする方法もあります。
また、遺産を相続税にあてる「物納」という方法もありますが、どちらも申告期限までに手続きが必要です。

碑文谷 創 『臨終から納骨、法要まで お葬式』小学館、2005年、129-132ページ

葬儀場・斎場検索サイト「葬儀ナビ」

葬儀社情報掲載について

バナー広告掲載について